小原 好喬

小原好喬は、塗師屋治五右衛門十六代目として、富山県南砺市城端にて勢力的に作品を制作する他、城端に伝わる曳山保存修理事業に加わっている。
小原家は城端で代々一子相伝の城端蒔絵の技法を継承している。
天正の頃、初代治五右衛門好永が、天平時代に中国から伝わったものの、当時は既に衰退していた密陀絵の技法を、長崎にて改めて唐人から学び再現。そこからさらに三代徳左衛門信好が、小原家に伝わる髹漆の技法を加えて白蒔絵法を編み出すに至った。
一般に漆では朱・黒・黄・緑・茶の五彩を表現できるのみだが、白の発色に成功し、自然なグラデーションも表現できるのが城端蒔絵の特徴である。
加賀藩は、加賀蒔絵保護の政策により金銀の使用を禁たこともあり、城端蒔絵は各種の色彩を駆使して、他の蒔絵とは一線を画す瀟洒で独特な様式を案出した。
以来、各代がそれぞれの感覚で創意工夫を加え、表現分野を開拓し、明治維新、第二次世界対戦という日本の大きな変動期を越えて継承され続けている。

小原好喬 at TEDxHimi vol.1